『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
65/356

63第2章 「100%の立証は不可能」だが方向性の大転換に抵抗感がなおも残ったが、事実に従って淡々と進めばいいだけだと思い定めた。とはいえ、結果的には斑目家の家伝をよそ者が無遠慮に侵し、修正することになる。力曠さんの父・日仏氏は「先祖は斑目四郎」と言い残しているのだ。一族にとって限りなく重いものだろう。しかし、その言葉の根拠は不明だ。一方で、日仏氏の家系に伝わる『橘姓斑目氏系図』の語るところも、また重いはずだ。両者の比較において、明らかに系図が指し示すものの方が自然で、論理的に納得しうるものとなっている。それでも、斑目家の人々になんとなく申し訳ないという思いが湧いた。根本的な方向転換について、せめて力曠さんに会って、断りを入れるべきだと思った。その日、当方の遠慮気味に回りくどくなった説明に対し、力曠さんの口から出た言葉は単純明快だった。

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です