『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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277第12章 酔談「班目沢と斑目郷」私は9世紀末から10世紀初頭に起きた「人口爆発」の現象をずっと研究しているんですが、『吉弥侯部氏系図』で班目四郎の先祖たちが出羽国へ入って来たとされる時期が、ちょうど「人口爆発」の時期に重なるわけです。つまり、この『吉弥侯部氏系図』の内容と私の研究がうまく一致している。――「人口爆発」ですか。はい。878年に起きた「元慶の乱」ってご存知ですか。この乱を境として、横手盆地の人口が急に爆発的に増えているんです。律令国家が進出の根拠地とする城を出羽にも造っていったんですが、その秋田城の城司がけっこう悪いことをしたため、蝦夷たちが反旗を翻したのが「元慶の乱」です。そこで乱を押さえるために京都から藤原保則という人物が派遣され、事態を収拾した。そして、その後の時期になって、遺跡が急に目に見えて増えて来るんです。――まつりごとの移ろいとともにということですかね。

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