『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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98にある山吹山(標高378メートル)の西山麓に広がり、古くから交通の要衝として知られた井手町である。京都府の南部に位置する「平安京」のまち・京都市のさらに南にあり、奈良県の最北端に位置する「平城京」のまち・奈良市にほど近い。その地理関係からして、井手町を拠点として奈良時代を生きた橘諸兄が「平城京」との間を行き来する姿を彷彿とさせる。聖武天皇に仕えて権勢を誇った諸兄は、この地との縁で「井手の左大臣」と呼ばれた。町内の各地にさまざまな諸兄伝説とゆかりの遺跡が散在し、一族がこの地を墳墓の地として暮らした往時を思い起こさせる。その代表的な遺跡が、JR奈良線・玉水駅の改札口を出て東へ、山麓の道を約1・5キロメートル行った先の竹林にある『井手左大臣 橘諸兄公旧跡』である。鹿児島県出水市にある『斑目家の墓』へのアプローチに似た、竹藪の繁茂でやや薄暗くなった緩やかな上り坂を行くと、左手に『旧跡』へつながる狭い石段が現れる。それを上ったところが諸

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