『橘姓斑目家の歴史 古代・中世編』
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8確かに「斑目四郎」といえば、歴史学者がそんなリスクを冒してでも研究しなければならないほどのキーパーソンではない。だから、専門の研究者はいないし、恐らくこれからも出てこないだろう。しかし、それはあくまでも、学者の都合による仕分けにすぎない。斑目家にとって斑目四郎との関係は子孫としての歴史的実存の問題であり、全く次元が違う話だ。系図の取扱いは難しいからといって、そこから遠ざかっていては「斑目家のルーツ」に近づくことは永久にできない。歴史学はもともと「解釈の学問」と言われる。歴史の事象をめぐっては、「1+1=2、2+2=4」といった万人が疑いなくうなずけるような、一義的な論理はありえないのだ。その辺りの不確かさというのは「解釈の学問」につきまとうものとして、系図だろうが文献史料だろうが同じではないのか。

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