『薩摩斑目家』の歴史
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86何も書いてなかったり。あるいは、三代まで譲るとか、何年まで売るとか、土地にできた作物を取っていいとか、付帯条件がいろいろ付いていたりする。言ってみれば、所有権というよりも使用権みたいなもの。それが後々になって、わやわやな事態を引き起こすことになるんですけどね」(栗林文夫氏)「土地を譲るのは確かに譲るのですが、譲る本人はあとで何とでもできる仕組みになっている。悔い返しというのが認められているんです。例えば、譲った息子が自分に不孝をはたらいたりしたら、それを取り上げてしまって、もうお前には譲らないといったことを後の段階で書くことができる。あるいは、後になって気が変わって、違う内容の譲り状を書いてみたりとか。同じ人が同じ人に対して幾つもの譲り状を書いていることも、よくあります(笑)」「斑目家文書」の中には、「着到状」という文書が2通ある。「橘政泰着到状」と「沙弥行恵着到状」である。

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