『薩摩斑目家』の歴史
82/189

80一分地頭は、一分と付いているとはいえ、その所領への職権の絶対性は普通の地頭と同じである。幕府発令の権威と武力を背景に、既得権者との間で衝突を繰り返し、あの手この手で収奪する構造を広げていった。地頭の上位にいる守護といえども、明確な上下関係にあるわけではなく、地頭の権能にはおいそれと手は出せない。地頭には命令するのではなく、あくまで要請するという形にならざるをえなかった。こうして、斑目氏もおそらくは、渋谷氏と同じように、土地の開発、年貢の収奪、治安の維持といった職分を果たしていた。渋谷一族の縁戚として当然、基本的には渋谷氏と同調しながら動いていたと思われる。いざという時に軍団と化す郎党たちも多数を抱えていたことだろう。そんな地頭職の最も重要な事業といえる土地の開発をめぐっては、こんな様子だったようだ。(佐藤真人氏)「渋谷氏だけでなく西遷御家人一般に共通することですが、関東の低湿

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です